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行付天井直段の事

2014/07/24 18:36:02

テーマ:現代訳 宗久翁秘録

 

本日は、現代訳 宗久翁秘録より抜粋6回目、「行付天井直段の事」をご紹介致します。

 

1.原文

目次

天井行付直段と云ふは、数月の内高下あり、段々五六十俵も引上げ、其後可上とも可下とも知れぬ様になり、又毎日十俵宛も必死必死と引上げ、売買共に連れ落ちになり、大騒出る節、上留り年中行付天井直段なり。

甲乙丙丁但し、この四つ上げ也。
戊己庚辛壬癸但し此六つ下げ也。上なし、癸を底とす。
右暦十二ケ月の下、月々の干支なり。

 

以下略

 

2.現代訳
 

大天井形成時には、数か月の揉み合いが有って、次第に五六十俵も上げ、その後上げるとも下げるとも判断がつかない様な状態となり、それから毎日十俵づつもずんずんと引上げてくる。その様な展開の中、売り買いとも連れ落ちになり、市場が大騒ぎとなった時、ここが上げ止まりで一年中の大天井値段である。

干支から言うと、甲乙丙丁の四つの月が上げ相場である。
戊己庚辛壬癸の六つの月は下げ相場である。上げは無く、癸が底である。
これは、暦十二か月の、月々の干支(かんし)についての目安である。

 

3.私の解釈

この節は、前半は、一年中の当面の大天井を付ける様子について、具体的に説かれています。天井の見様について宗久翁は、この節の他に、「不作年駆引きの事」「相場引上げ大騒ぎ考の事」にても説いていますが、この節ではまた違った見方が見て取れます。

 

後半は、陰陽五行循環思想に基づくものであり、当時の暦では干支が当たり前に用いられていました。米相場ですので、収穫は天候に左右されるもので、この様な暦道がうまく当てはまっていたものと思います。

 
天井を付ける様子としては、出来高が減少し、上げるとも下げるとも付かなくなった時、何故だかずんずんと引き上げて来る、そして巷が大騒ぎし出した頃が、大天井である。と説かれています。

 

私としましては、出来高の減少に注目したい所です。「出来高の減少は相場転換のサインである」、これは尊敬する「三四郎先生」のお言葉でもありますが、真理を突いている様に思います。

 

また、他の節とも共通している事として、「巷が騒然としている時」があり、新聞、テレビにて楽観情報一色となった時が、やはり気を引き締めるべき時だと思います。

 

決定身上釣り替えの損也、身代を潰す様な高値掴みにならない様、この教えを心に留めたいと思います。